佐藤琢磨選手のインディ500優勝に思うこと

2012年5月27日の

インディアナポリスモータースピードウェイの1コーナー

200周目に置いてきた忘れ物を

佐藤琢磨選手がついに拾ってくれました!

 


2012 インディ500優勝争い 佐藤琢磨 vs ダリオ・フランキッティ

 

トップチームであるアンドレッティオートスポーツに今シーズン琢磨が移籍しました。

ほぼ同じマシン*1を使うインディカーシリーズ、特にインディ500では

ドライバーの力とチーム力の高さがかなり大切。

ホンダエンジンユーザーのチームの中でアンドレッティは間違いなくトップ。*2

 

そりゃ期待しちゃいますよね。

 

今年のインデイ500では練習走行から上位を維持して、予選1日目に2位のタイムを記録して

ファスト9*3に入り、

最終的に2列目インサイドの4番グリッドを獲得。

決勝前最後の練習走行でも2番タイムを記録。

 

そりゃ期待しちゃいますよね。

でも個人的にかなり心配してたんです。

最近の日本人ドライバーは「持ってない」ことが多かったから。*4

 

レース中盤にズルズルと順位を落とし17位(だったかな?)まで落ちたときは、

「ああ今年もダメかぁ」と思ってしまいました。

でもそこから確実に順位を上げていき、

179周目の1コーナーでの2台同時オーバーテイクを見たときに感じました。

これは勝てると。


2017 INDIANAPOLIS Indy500 Takuma Sato Overtake 2cars from the outside

(4:25あたりから 青と白のマシンが佐藤琢磨選手)

 

クラッシュやトラブルでフルコースコーション*5が出され

残り11周でレースが再開されたとき、佐藤琢磨選手は2位につけていました。

3位にその後順位を落としたものの落ち着いてレースを進め、

残り5周でトップに。

この時自分は失礼ながら勝ちが5割、2位以下が5割だと思ってました。

マシントラブルが起きるんじゃないか、スピンするんじゃないか。

だって日本人は「持ってない」から。

 

 でもこの時確実に彼は「持ってた」んです!

レース終了後に判明したことですが、この時彼のマシンからオイルがかなり漏れていて

もしリアタイヤにかかればスピンアウトする状況だったんです。*6

でも、「持ってた」からそうはならなかったんです!

 

そうして佐藤琢磨選手は、30万人を超える観衆の前で

100年以上の歴史を誇る伝統のレース

第101回インディアナポリス500マイルレースを

日本人として初めて制したのです!

 

 日本での放送のこの実況を聞けば、

日本のモータースポーツファンがこの瞬間をどれだけ待っていたか分かると思います。

この放送を自分はモータスポーツバーで見ていました。

中にはモータースポーツそのものを人生で初めて観戦するというお客さんもいました。

そんな彼*7も含めて、バーにいた全員が叫び、泣き、ハイタッチをしたんです!

こんなに嬉しい日が来るなんて思ってませんでした!

 

この一勝で佐藤琢磨選手は、

イチロー選手と同等くらいのアメリカでの人気と知名度を獲得したでしょう。

 

アメリカ副大統領から祝福され、

 勝利の次の日の朝には全米のニュースで生インタビューが放送され、

 NASDAQオープニングベルを鳴らしてるんですから。

 

モータスポーツが下火になっている日本では、

この勝利の凄さがあまり伝わってないかもしれません。

テニスで言えばウィンブルドン制覇、オリンピックで言えば金メダル

それらと同じレベルなのです。

アメリカに行って、我々が日本人だとわかると

「サトー、サトー」と呼ばれてもおかしくないレベルなのです。*8

 

 

技術的なことは分からなくてもいい。

インディカー以外にもレースはたくさんあります。

世界戦でいえば、有名なF1や世界耐久選手権

日本国内にも、スーパーGTやスーパーフォーミュラといったレースがあります。

バイクが好きな方は、Moto GPや全日本ロード選手権といったものがあります。

どれも素晴らしいカテゴリーです。

どのレースにも体力的なキツさや精神的な駆け引き、ドラマがあります。

どれでもいい、ぜひ一回見てください。

とにかく一回見て、モータースポーツの熱さと素晴らしさを感じてほしい。

地上波でレースの放送がなくなったため、一回見てみることが難しいことは事実です。

でもインデイ500でレースを初めて見たお客さんのように、

モータースポーツを放映してくれるスポーツバーに行けば、

きっと、きっとファンの皆さんが暖かく迎えてくれるはず*9です。

 

思ってること書いたら話がめちゃくちゃになってしまいましたね。

 

インディ500優勝という大快挙が

日本の明るいモータースポーツの未来を作ってくれることを願って。

ありがとう琢磨!おめでとう琢磨!

 

 

さて、次はあなたたちの番ですよトヨタさん!

6月18日に日の丸がルマンの頂点に掲げられることを期待しています!

 

*1:シャーシは共通、使用するエンジンメーカーによってエアロが異なる

*2:今年のインディ500に出走した33台中6台がアンドレッティのマシン!

*3:ファスト9に入れば予選2日目に走れなくても予選9位が確定 逆に言えばファスト9に入らなければどれだけ速くても10位が最高

*4:2012年F1ベルギーGPとか2016年ルマン24時間耐久とか

*5:この間コース整備のためにマシンは一列に隊列を組んで低速で走る

*6:

【第101回インディ500】佐藤琢磨、ウィナー撮影会で「あわや…」の危機を明かす | レスポンス(Response.jp)

*7:これを期にモータースポーツファンになってくれているといいですね!

*8:行ったことないので「イチローイチロー」と呼ばれているかは分かりませんが、きっと呼ばれてるでしょ?呼ばれてない?

*9:皆さん迎えてあげてください!